避雷針

あるいは老いの雫

私の黒歴史 その3

私は進学で東京に出た。

 

そこは田舎のようには簡単に裸になれるような所ではない。 

 

なので私は脚をかなり出したショートパンツで深夜散歩する事をよくしていた。  

 

 

 

私は東京で何度かおじさんにナンパされた事がある。

 

さすが東京だと思ったものだ。

 

お茶に誘われ付いて行って、彼がこれからのしたい事を暗示するような話をされた。

 

私は怖くなってそれ以上の誘いには乗れなかったのだが。

 

 

 

私は女装していたわけではない。

 

単に本屋で立ち読みしていただけである。

 

彼らは目ぼしいと見るや手当たり次第に声をかけていたのだろうか。

 

 

 

 

 

私は今で言う「男の娘(おとこのこ)」ような感じであった。

 

女のような扱いを受けたいと言う願望がずっとあった。

 

ネットには可愛い男の子たちがオナニー動画をアップしていて、私もたまにそれを見ながらオナニーする。

 

彼らの性器は私のものよりも遥かに立派なものなのだが。

 

 

 

 

 

私はそれでも一度だけ大きく一歩踏み出した事がある。

 

二十歳の頃である。

 

深夜にショートパンツ散歩をしていた時であった。

 

飲み屋街から少し離れた人気(ひとけ)のない公園に、酔っ払いがひとりグッタリしていた。

 

40代くらいだっただろうか、服装や顔は全く覚えていない。

 

 

私はドキドキしながら彼を心配するフリをして近づいた。

 

無反応の彼の手を取り、自分の内腿に持っていき挟んだ。

 

彼はそれでも無反応で、それで私もさらに大胆になり下半身を出し、尻やアナルに彼の手を持って行った。

 

彼は少し反応し出して、やがて私の性器に手を伸ばした。

 

私は男である事がバレてしまったと思ったが、彼は私の性器を握って離さなかった。

 

 

私は他人に性器を握られた事がなかったので、あまりの気持ち良さに陶然とした。

 

やがて彼は私に仰向けになるよう無言で指示をし、その通りにすると私の性器を咥えてフェラチオをし始めたのだ。

 

もちろん初めてのフェラチオ体験であったが、想像ほどには気持ちよくないと感じながら、しかしあっという間に射精してまったのだった。

 

 

彼は私の早さに驚いたような反応をして、口の中の精液を吐き出すと、またグッタリとして眠ってしまったようだった。

 

私はと言うと我に帰り、足元まで下ろしていた下着とショートパンツを上げ、逃げるようにその場を去ったのだった。

 

 

 

 

今思えば、なぜ彼はフェラチオをされる側ではなく、する側になったのだろうか。

 

初めてではなかったのだろうか。

 

それは奇跡のような出来事に思えるのである。

 

 

 

 

そして私はと言うと、フェラチオをしなかった事を今は強く後悔している。

 

もちろん未だにフェラチオをした事はない。

 

自分の精液を舐めた事すらないのだ。

 

今でもその体験は、私のオナネタになる事がある。